「また3日坊主だ」そんな自分に嫌気がさしていました

私はこれまで、数え切れないほどの3日坊主を経験してきました。ジムの会員証、使わなくなったランニングシューズ、開封すらされていないヨガマット。どれもが「今度こそは」という決意とともに始め、そして静かに終わっていきました。

だから、40代になって再びランニングを始めようと思ったとき、正直なところ「どうせまた3日坊主で終わるだろう」と思っていました。周囲も「お、やる気じゃん」と言いながら、その目は「また始まったよ」と語っていた気がします。

ところが今、気づけば2年近く走り続けています。週に3〜4回、朝や夕方に近所を走ることが、歯を磨くのと同じくらい当たり前の日課になっています。

一体、何が違ったのでしょうか。改めて自分の行動を振り返り、3日坊主を克服できた理由を言語化してみることにしました。この発見は、健康診断の結果を見て「そろそろ本気で運動しないとまずい」と感じているあなたにこそ、届けたいメッセージです。

「3日坊主」ってかなりポジティブな状態

朝日に向い走り出すランナー

まず、あなたに伝えたいことがあります。それは「3日坊主になっている時点で、あなたはすでに一歩前進している」という事実です。

考えてみてください。3日坊主ということは、すでにスタートを切っているということです。つまり、最もハードルが高い「重い腰を上げて、初動をクリア」しているのです。これは想像以上にすごいことです。

40代になって痛感するのは、歳を重ねるほど「動き始める」ことに膨大なエネルギーが必要だということです。20代の頃は「よし、明日から走ろう」と思えば翌朝にはシューズを履いて外に出られました。しかし40代の今、そのハードルは格段に上がっています。

仕事の疲れ、家族の用事、身体の重さ、そして「今さら始めても」という心のブレーキ。これらすべてを乗り越えて「スタートする」という行為は、実は極めて難易度が高いのです。年齢と腰の重さは、間違いなく比例しています。

だからこそ、「スタートしている」あなたは、すでに王者なのです。世の中の多くの人が「運動しなきゃな」と思いながらも、実際にはスタートすら切れていません。その中であなたは、実際に一歩を踏み出しました。この事実を、まずは心に刻んでほしいのです。

3日坊主の正体は「3日目」にはありませんでした

さて、ここからが本題です。私は自分に問いかけてみました。「今回のランニングで、3日目あたりに『やっぱり辞めよう』と思ったことはなかったか?」

答えは、意外にも「無かった」でした。

通常、3日坊主という言葉からイメージするのは、3日目あたりで訪れる「もういいかな」という気持ちの変化です。しかし今回、その感覚は一度も訪れませんでした。では、なぜ今回は続いているのでしょうか。

考えれば考えるほど、その理由が分かりません。3日目に特別なことをした覚えもありません。モチベーションが急上昇するような出来事もありませんでした。

ということは、発想を変えるべきです。つまり、「3日坊主」という関門は、実は3日目にはないのです。本当のターニングポイントは、別のタイミングにあります。

ではそれはどこでしょうか。3日目よりも前しかありません。そう、答えは「スタート」の瞬間にあったのです。

20代の自分と40代の自分、決定的な違い

膝を抱えて挫折するランナー

そう考えて、ふと思い出しました。20代や30代の時にも、何度かランニングを習慣化しようとして挫折していました。ではその時と今は、何が違っていたのでしょうか。

圧倒的に違っていたのは、「スタート時」のマインドとアプローチでした。

若い頃は、「よし、走るぞ!」と意気込んで、初日からハイペースで5キロ、10キロと走っていました。翌日は筋肉痛で身体が悲鳴を上げ、3日目には「今日は休もう」となり、そのままフェードアウト。これが典型的なパターンでした。

しかし今回は違いました。最初から「頑張らない」スタートを心がけたのです。

3日坊主を克服するための奥義、それは何と「スタートの仕方」にあったのです。これは、私にとって大きな発見でした。

ウォーキングくらいのペースで走る、ただそれだけ

では、その「スタート」の具体的な方法を共有しましょう。ずばり、3日坊主にならないスタートの仕方とは——

ウォーキングくらいのペースで走る

ただこれだけです。びっくりするほど簡単なことです。

しかし、断言できます。このスタート方法だから、3日どころか、もう2年近く「辞める理由がない」ままランニング習慣が続いているのです。

「何をやったって3日で終わるんだよな、俺って…」と自分を責めている人にこそ、この法則は当てはまります。ウォーキングくらいのペースで走る。できるでしょう?これに「できない理由」を考える方が、よっぽど面倒なはずです。

「ウォーキングくらいのペース」とは具体的にどれくらいか

ここで、「ウォーキングくらいのペース」の具体的なイメージを共有しておきましょう。それは「会話ができる程度」という認識でおおよそ合っています。息が上がらず、隣の人と普通に話せるくらいのスピード。これが理想です。

ここにはもう一つ、重要なヒントが隠されています。会話である以上、一人では難しいですよね。40代の男性が独り言を言いながらランニングをする姿は…ちょっとしたホラーです。やめておきましょう。

「会話ができる程度」の感覚をつかむには、やはり仲間がいた方が良いです。理想はランニング経験者です。経験者は、スモールステップの重要性を熟知しているので、習慣化するまでのゆっくりとしたペースでも嫌な顔ひとつせずつきあってくれます。

また、ランニング経験者は仲間が増えることを心から喜んでくれる人が多いです。職場や知人に現役でマラソンを楽しんでいる人がいたら、ぜひ勇気を出して相談してみてください。おそらく満面の笑みで協力してくれるはずです。

「周囲の目が気になる」という心配は不要です

周囲を気にせず走るランナー

ここで、もう一つの問題や心配が出てくるでしょう。それが「周囲の目」です。

「ウォーキングのようなスローペースで走るなんて恥ずかしい」

もしこんな感情を持っているとしたら、すぐに捨ててOKです。前述のように、「ランニングをスタートしている」という時点で、一般の人から見たら遥か先を行く存在なのです。そこにきて「遅い」なんて感情を持たれることは、ほぼありません。

逆の立場で想像してみてください。街を走っているランナーを見て、「あの人遅いな」という感情が湧いたことはあるでしょうか?おそらく、ないはずです。そんなことを気にするのは、陸上部経験者かよっぽど性格に難がある人くらいです。そしてそういう人は、このブログを読んでいません。

ということで、周囲の目は無視でOKです。あなたが気にするべきは他人の評価ではなく、自分の身体と心の声です。

あなたはすでに王者です

冒頭で「スタートしている時点ですでに王者」ということをたくさん語った理由が、おわかりいただけたでしょうか。

健康診断の結果を見て、「そろそろ本気でやらないと」と感じたあなた。その危機感こそが、変化への第一歩です。そしてこの記事を読んでいるということは、すでに情報収集という行動を起こしています。これも立派な前進です。

あなたはすでに王者です。健康な身体への片道切符を、すでに手に入れています。

肝心なことは、「3日坊主を克服しよう!」と意気込むことではありません。そうではなく、「ウォーキングのようなペースでスタートする」という、極めてシンプルな行動を選択することです。

すでにスタートしようとしているあなたなら、ウォーキングのようなペースで走ってみるというハードルは低すぎるでしょう。だから、超えられます。だから、習慣化できます。だから、あなたは強いのです。

未来のかっこ良い自分をたぐり寄せよう

希望に満ちたランナー

2年後、あなたはどんな姿になっているでしょうか。

健康診断の数値が改善され、医師から「いい傾向ですね」と言われる。階段を上っても息が切れない。以前着ていたスーツが再び似合うようになる。そして何より、「自分は続けられる人間だ」という自信が、人生のあらゆる場面で力を発揮する。

その未来は、決して夢物語ではありません。「ウォーキングくらいのペースで走る」というシンプルな選択から、確実に始まる未来です。

3日坊主で終わるのは、頑張りすぎたからです。頑張らないスタートこそが、継続への唯一の道。この真実を、ぜひあなたの行動で証明してください。

未来のかっこいい自分を、今日からたぐり寄せましょう。最初の一歩は、驚くほど軽いのです。